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素材の旅

vol.03 無漂白・無着色の栗を求めて 〜扶余(プヨ)・求禮(クレ)編〜

安心の無漂白栗をお届けする為に、韓国まで行ってきました。

Buyeo, Gurye region in Korea

文=北川聡-㈱京都吉祥庵 代表取締役-
Text by Satoshi Kitagawa
写真=菅原秀志
Photos by Shuji Sugawara

栗といえば、私たちがよく使うお菓子の材料である。
日本国内では茨城や熊本、愛媛辺りが産地として有名で、京都近郊には丹波栗もあり、日頃から身近な食材である。
しかし、いつも困っていることがあった。日本は台風なども多く、栗の価格は年によって乱高下しやすく、
また市場で流通している栗の多くは漂白剤や着色料を使用しており、
無漂白の栗を探すことはいつも苦労するのである。
今回はそんな悩みを解消するために、韓国の栗の産地を訪れてみました。

無漂白・無着色にするなら今しかありません!

栗は私たちにとって非常に重要であり、かつ身近なお菓子の材料です。逆に言うと、常に国内の茨城や熊本・愛媛、そして京都から近い丹波の栗の仕入れルートは常に確保しなければならない。

しかし、市場で流通している栗の多くは、着色料や次亜硫酸Naなどの漂白剤を使用していることが多いのが現実だ。漂白剤を使うと、栗の色の発色がよくなり、見た目に綺麗だから昔から当たり前のように使われているものなのだが、栗本来の風味は減り、体にも良い訳ではないので、私たちは出来る限り無漂白栗を探しているというわけだ。

もちろん栗の業者さんの中には無漂白栗を扱っているところはあるが、私たちが年間を通じて必要な量を安定的に供給してくれるところとなると、なかなか思うようにいかないのである。

そこで考えたのが、新栗が取れる秋に1年分の栗をまとめて買い付け、無漂白・無着色として加工してもらおう!というものだ。

山全体が栗の木で覆われている

山全体が栗の木で覆われている
いたるところで栗の森が広がっている
いたるところで栗の森が広がっている
大きさは産地に関係なく、栗は大小さまざまになっているのだ<br>
その中から身が詰まったものが美味しいとされる
大きさは産地に関係なく、栗は大小さまざまになっているのだ
その中から身が詰まったものが美味しいとされる
一つのイガの中には3、4つの栗が入っている
一つのイガの中には3、4つの栗が入っている
真ん中は押しつぶされて小さくなる傾向もある
真ん中は押しつぶされて小さくなる傾向もある
今や国内産の3倍規模!
国産と同等で新鮮な栗が取れる
韓国産栗に注目!

日本国内で収穫される栗は20,000トン前後。それに対して韓国では70,000トン前後と約3倍の収穫高がある。

韓国では、日本で栽培されている栗と同じ品種のものが栽培されています。日本の栗の苗木を現地へ持っていって栽培されており、日本の産地と気候も非常に近い為、国産と変わらない高い品質の栗が収穫されています。

収穫が少ない国内産に比べて、安定した数量を確実に収穫できる韓国は、私たちにとっても非常に魅力的。私たちが普段お付き合いしている日本の栗業者が現地の産地や業者・加工場まで管理しているということで、今回現地を訪れてみた。

韓国では北の産地として有名な公州の扶余、南の産地として山清郡があります。今回は北の扶余と、南の産地近くにある栗の選別場を視察した。

国産種の栗の木が
手入れの行き届いた状態で育てられている

ソウルから韓国の高速鉄道KTXで約1時間。大田駅に到着。そこから扶余までは車でまた1時間。案内してくれたのは、これまで訪韓200回以上、年間の4分の1を韓国で過ごすという栗のスペシャリスト松本さんと日本の栗業者の猪木さん、現地で栗の加工などを手がける孫さん。

道中では日本産と韓国産の栗の違いなどを教えてもらった。味は日本の苗と同じなので遜色がないこと。加工場などは設備が行き届いていて、日本に比べると、むしろ韓国の方が優れているなど。これまで知らなかった現実を知ることとなった。

栗というのは、とにかく鮮度が命だそうだ。収穫から日数をかけずに水漬け処理をし、不良品を選別。さらに選別を繰り返して、剥き工程まで素早く通過させる。

今年の栗は平年並みといったところだそうで、粒の大きさも十分の出来。木には所狭しと栗がなっている。その日に収穫された栗は、その日のうちに産地近くの1次選別場へ収集され、ここで空洞や虫食いなどを選別し、大きさ別に種類分けしていくのだ。

空洞や虫食いは水に漬けることで、浮いてくるので、中身を見なくても判別できるそう。おば様たちの手つきの早いこと早いこと。選別されたものは専用のローラーの中をくぐる間に、それぞれサイズ別に分かれた穴から落ちてくることで、分けられるという仕組み。

それにしても一袋は相当な重さだろうが、スタッフの方々は軽々と運んでいくのが不思議・・・

たくさんの日光を受けている木にはやはりたくさんの栗の実が生っている

たくさんの日光を受けている木にはやはりたくさんの栗の実が生っている
一番右からスペシャリストの松本さん、日本の業者の猪木さん、現地の孫さんと北川代表
一番右からスペシャリストの松本さん、日本の業者の猪木さん、現地の孫さんと北川代表
  • (左)農家の方が毎日栗を拾って、村の選別場へ運んでくる<br>(右)水が張られた選別ラインに栗を入れていく
    (左)農家の方が毎日栗を拾って、村の選別場へ運んでくる
    (右)水が張られた選別ラインに栗を入れていく
  • (左)水漬けをクリアした栗はコンベヤーで運ばれる<br>(右)ここで一次選別を行っていく
    (左)水漬けをクリアした栗はコンベヤーで運ばれる
    (右)ここで一次選別を行っていく
  • 大きさによってどんどんと栗が選別されていく
    大きさによってどんどんと栗が選別されていく
  • (左)みるみるうちに栗が袋いっぱいに<br>(右)こちらは一番大きな特大サイズ
    (左)みるみるうちに栗が袋いっぱいに
    (右)こちらは一番大きな特大サイズ

旅の終着点へ

(左)選別場は山の中にあるのだが、設備や環境は非常に整っており、清掃も行き届いている<br>
(右)中央の男性が見つめるのは巨大な栗のプール
(左)選別場は山の中にあるのだが、設備や環境は非常に整っており、清掃も行き届いている
(右)中央の男性が見つめるのは巨大な栗のプール
第2次選別は整った設備で徹底的に!<br>
そして皮むきへ
大量の水を使うため、綺麗な水が流れる川が近くを流れていることが必要条件だそうだ
第2次選別は整った設備で徹底的に!
そして皮むきへ

北の扶余の産地を後にし、我々は南の産地近くの2次選別場へ向かった。

求禮(クレ)と呼ばれる地域だ。ここは韓国でも有数の水が綺麗な川がすぐ隣を流れている。選別場を見るとなるほど。相当の水が必要であり、この綺麗で豊かな水が美味しい栗を作ってくれているというわけ。

先ほどの1次選別場とはうってかわって、こちらでは綺麗な水に浸されて、さらに不良品がないかチェックし、その後、形が不揃いなものなどを倍の人数で探している。そうして徹底的に不良率を下げているのだ。

ここでは日本の買い付け担当者が、現地で大きさ、ツヤ、香り、甘みを確認し、私たちの商品にふさわしいかどうかを厳しい目でチェックする。無作為に取り出したいくつかの栗を剥き、1個ずつのグラムまで測って、今年の出来をチェックするのだ。

最後は綺麗な水に浸して袋詰め。綺麗に整理された冷蔵庫へ格納され、栗の皮むき工場へ送られる。

  • (左)大量の栗に注水を開始<br>(右)完全に水に浸るまで注がれる
    (左)大量の栗に注水を開始
    (右)完全に水に浸るまで注がれる
  • (左)選別はやはり人海戦術<br>(右)選別が終わった栗がこちら 綺麗な栗が揃っております
    (左)選別はやはり人海戦術
    (右)選別が終わった栗がこちら 綺麗な栗が揃っております
  • (左)一つ一つ買い付け担当も実際に剥いてみる<br>(右)一粒づつ重量や味をチェックして今年の状態を確認していく
    (左)一つ一つ買い付け担当も実際に剥いてみる
    (右)一粒づつ重量や味をチェックして今年の状態を確認していく
  • (左)この栗を剥く作業は鬼皮が硬いので簡単ではない<br>(右)最終的には綺麗な水に浸した状態で日本へ 最終加工は全て日本で行ってもらっているのだ
    (左)この栗を剥く作業は鬼皮が硬いので簡単ではない
    (右)最終的には綺麗な水に浸した状態で日本へ 最終加工は全て日本で行ってもらっているのだ
最終の加工は日本へ
無漂白・無着色の栗が完成する

私たちが見た栗は、そのまま綺麗な水に浸された状態で、栗の皮むき工場へ送られ、その後日本に送られます。

日本の熊本の缶詰工場にて、ようやく無漂白・無着色の栗が完成するのだ。

今年の新栗が我々の手元に届くのはもう少し先だが、扶余⇒求禮⇒熊本⇒京都と長い旅を経て、綺麗で美味しい栗が届くのが今年も楽しみだ。

「大きすぎてもダメ、小さすぎてもダメ。ちょうどよいサイズが味もしっかりしていて美味しいのよ」栗のスペシャリストの松本さんが最後に教えてくれた。

今回は私自身、韓国訪問ははじめての経験であったが、百聞は一見にしかず。少し韓国が近い存在となった。